2014年11月28日金曜日

マニフェストとは呼べない民主党マニフェスト

総選挙が近づき、各党から公約が出されている。

前政権党の民主党の「経済政策の三本柱」は、以下のとおり。

(1)過度な異次元の金融緩和とは一線を画す「柔軟な金融政策」
(2)子育ての支援、雇用の安定、老後の安心を実現して可処分所得を増やし消費を拡大する「人への投資」
(3)再生可能エネルギー、医療・介護、農林水産業、中小企業を集中的に開拓し、経済のエンジンを作る「未来につながる成長戦略」
民主党マニフェストより


正直残念な思いしかしない。
これで政権の奪取などできるわけがない。

マニフェストとは、Wikipediaによると、以下のようなものである。

マニフェストには、次のような効果が期待される。
  • 現在の政治が抱える問題点を明確化する。
  • 美辞麗句を並べた宣伝活動に終始しない、実行可能性が担保された政策を提示する。
  • 有権者の政策本位の選択に資する。
  • 公約を掲げ当選した候補者または政党による施政の事後評価を可能にする。
そのために、マニフェストには次のような要素が盛り込まれる。
  1. 執政に対する基本理念、および今後必要となる政策を検討する。
  2. 個々の政策について、その目的と実施方法、期限、財源などの指標を明確にする。
  3. 期限や財源などが必要な政策については、判断の基礎となる具体的な数値等を算定し、目標数値を設定する。
  4. 事後評価可能な形で策定し、専門知識を持たない一般有権者にも解りやすい表現で明文化する。
  5. 選挙前に公表し、配布する。

かつてよりもマニフェストのブームはなくなったとはいえ、
ブームで終わらせていいわけがない。
数値目標は、国民にわかりやすくするものであり、
政権をとったときの責任ともなる。

かつて信頼を大きく失い、瀕死の民主党だが、
信頼回復のためには、愚直に数値目標を載せた、
本当のマニフェストを選挙毎に出していくことが、
少しずつでも信頼を回復することになりはずだ。
さらにいえば、続けることで数値の精度も上がっていくはずだ。

こんないい加減なことをしているから、
政権をとったときに何もできないのだ。

2014年11月26日水曜日

『無税国家のつくり方 税金を払う奴はバカ!』

『無税国家のつくり方 税金を払う奴はバカ!』(大村大次郎著)(以下、本書)は、
お金が市中に流れるルートは誰かが銀行などからお金を借金することと、
企業が輸出をして、外貨を獲得して、銀行で日本円に交換したときの2つしかないとする。
市中にお金が流れるルートが2つしかない金融システムを欠陥と指摘し、
政府通貨を発行することで、無税国家とし、お金が大量に流れる
新しい金融システムを構築すべきと唱える。




この政府通貨構想は、テレビなどでも何人かの経済学者などが唱えており、
決してできないものではなく、また、効果もあるのだと思われる。

が、これをやれる政治家が果たしているのかと思うと、
可能性は薄いと思わざるをえない。

かつて、松下幸之助氏が無税国家を唱えた。
さすがにダム経営を唱えた松下氏で、
国家が貯蓄をし、その利息をどんどん膨らませていき、
ゆくゆくは無税国家になるというものだった。
できるできないの可能性で言えば、こちらの方ができそうだが、
借金まみれの我が国では、これも夢物語でしかない。

いずれは、松下氏の唱える形になればいいのだけど、
今を脱却しない限りは決してできないことである。

この脱却の方法の一つが、大村氏の唱える政府通貨の発行でもある。
前述したように、不可能なことではないが、
今の政治家にはできないと思わざるをえないほどの、大きな仕組みだ。

それよりは、税制の抜本的改革をした方がいい。
本書にもあるように、企業が内部留保金をバブル崩壊以降で倍増させ、
輸出額も順調に増えてきたにもかかわらず、ずっと経済は停滞してきた。
それなら、その内部留保金を市中に出させればいい。
株主資本に税金をかけるのだ。

株主資本がマイナスになれば銀行はお金を貸さないし、
当然、余程の可能性がある事業出ない限りは、株主はそっぽを向く。
企業は株主資本をマイナスにはできない。
企業の7割が法人税を支払っていないという中、
株主資本に税金をかけることにすれば、大部分の企業は税金を支払うことになる。
さらに税率を小さくしても、いまよりかなり大きな税収になるはずだ。

また、個人も同様で、確定申告制度を変えて、
企業と同じようにバランスシートを作り、
自己資本、または資産全体に税金をかける。
資産全体にかけても今の所得税より安ければ問題ない。

広く薄く税金を確実にとることで税収をあげ、
今の制度である、所得税、消費税、贈与税、相続税などはすべて廃止する。
いくら消費税をあげていっても、国の借金は減らせない。
減らすぐらいまで税率をあげたときには、国民生活は成り立たなくなっている。
ちょうど総選挙になるようだが、小手先の改革をいくら唱えても何も変えられない。
いかに抜本的に変えて、未来の国つくりができるかが重要だ。
いま、必要なのは国家戦略であって、戦術ではない。。。

2014年10月20日月曜日

常に起こる政治とお金の問題は、もうなくさなければならない

安倍政権は、これまで順調に運営されていたが、
毎度のことではあるが、またつまらない問題で閣僚の辞任騒動になっている。
小渕優子経済産業大臣は、お金の問題。
松島みどり法務大臣は、選挙違反の問題。それも、うちわ・・・。

ここまで上り詰めて、こんなことでオジャンになるのは、
心中お察しするが、すべては身から出た錆、どうにも仕方がない。
かばうわけではないが、毎度毎度起こるお金の問題は、
本人が知らないところで、問題が生じているだろうということも、
国会議員ぐらいの所帯になると、ある程度察しがつく。
しかし、そんなことは言い訳にはならないということもわかる。

制度の見直しをしなければ、こういうお金の問題は永遠と起こる。
日本の国会議員は世界と比べても、もらいすぎだ。
日本の国会議員の年収が2106万円に対して、
アメリカは1357万円、ドイツ947万円。
http://matome.naver.jp/odai/2131668551425119601
これでも足りないというぐらいなのだから、
何に使ってるんだ!と言いたくなるのは国民感情として仕方ない。

政党助成金という制度も首をひねらざるを得ない。
そもそも、国会議員というのは、
選挙区を代表して一人で意思決定をできる存在。
政党にお金を配って、議員に自由に配分することができるため、
議員の首根っこを抑えるようなものになっている。
国から報酬がでているのに、さらにもらうということがおかしい。
企業からの献金も続いている。
これでは政党助成金の正当性すらない。
所詮は、自らが不利になることは一切しない人たちの集まりだ。

政治家業務はそもそもボランティアから生じている。
今の社会情勢からはそれは難しいのかもしれないが、
せめてアメリカ程度にしていい。
地方議員に至っては、それこそボランティアでいいのではないかと思う。

こういう状況をなくすためには、選挙制度とお金の問題を一気に片付けるしかない。

1)ネットを主体としたお金のかからない選挙。
2)ネット環境を整備し、国民の直接選挙ができる体制を整える。
3)国会議員になったら、地方事務所は廃止。
4)秘書は国で用意
5)与野党を問わず、国会議員が知りたい情報があれば官僚が調べて渡す。
6)不公平が生じないよう、官僚の中立性を厳格化。
7)選挙活動は選挙時のみ。
8)年収はアメリカ程度にまで縮小。
9)地方活動はお金がかからない範囲で。
10)うちわはもちろん、物品やサービス提供は禁止。

せめて、このぐらいはやらないと、今後も続く、つまらない政争。
優秀な人が、こんなことで潰れることも避けたいものです。

2014年6月23日月曜日

ヤジから生まれる新しい議会の在り方

議会におけるヤジというのは、いつから行われてるのだろうか?

世界の国会においても、ハチャメチャなことはあるようで、紳士の国イギリスでもヤジは多いらしい。もっとも、韓国や台湾のような乱闘は、日本ではほとんど見なくなっただけ、ましかもしれない。

「世界で一番ハチャメチャの国会はどこ?」


今回の東京都議会におけるセクハラやじは、発言者が名乗りでたようだが、決して褒められたような名のり方でもなかった。

議会というのは議論の場。
国会においてもそれぞれの議会においても、ヤジというのはそろそろ止めたらどうだろう?国会ではいっぱしの政治家になるためには、ヤジを経験させるというようなこともあるようだが、何ともくだらない。そんなことのために、彼らに一票を投じてはいない。

質問者と回答者以外が暇なら、議会の在り方を変えたらどうだろう?
クラウドが普通になった現在、質問をどんどん挙げていって、それに対して責任者が答えるという形でもいいのではないか?討論会でなければ、この形で十分機能は果たせるはず。
しかし、であれば、質問は一般の国民からもできるではないか!!
それでは、選ばれた議員たちの仕事は、最後の判断だけでもいい。そんな議会運営も、あってもいいのではないだろうか?

2014年4月15日火曜日

「労働者の横暴」を許さない社会作り


【守られるべき企業】

よく「企業の横暴」という話は聞く。
ニュースでも見ることがある。
これが耳に馴染む普通のことであることは、
労働者が企業より弱い立場であるということが原則だと人は考えるからだ。

しかし、果たしてそうだろうか?
確かに、生活の糧を奪われるということは、
人生にとって非常に大きなことではある。
しかし、解雇されて、当たり前という労働者も残念ながらいるということは認識すべきだ。
どのような労働者も守られてしかるべきだということは、
非常におかしな話だ。


【解雇していい社員とは】


「遅刻が多い」
「休みが多い」
といった理由での解雇は、解雇事由にあたるようだ。

では、
「仕事が他の社員と比較して凄まじくできない」
「仕事のやる気がまったくない」
という社員はどうだろうか?
原則として、企業は解雇できないと言っていい。
遅刻もせず、休みもしないが、
まったく仕事のやる気もなく、
他の社員と比べても圧倒的に仕事ができない。
こういう社員を、企業は守る義務があるのだろうか?
仕方がないという判断をしては行けないのだろうか?
国や社会は、労働者を守ることと同様に、
働く場所である企業を守る必要がないのだろうか?


【解雇自由の国デンマーク】

デンマークという国では、解雇は自由であるらしい。
もちろん、セーフティネットがしっかりしている。
企業のほとんどには組合があり、労働者の再就職まで支援するそうだ。
こういう環境のため、不当解雇のような話は少ない国のようだ。


【支えきれない脆弱な企業】


企業がなければ、国は成長しない。
もちろん、企業がなければ、労働者もその糧を得られない。
つまり、労働者と企業の双方を守る必要がある。
大企業であれば、やる気のない社員を雇う体力はあるかもしれない。
しかし、中小企業では、一人を雇えば、もう一人雇うことは不可能・・
という会社は数多い。
その大きな大きな一枠を、まったくやる気のない、
教えても覚える気もなく、生産性も伸びない社員に渡すことが果たして正しいのか?
企業が潰れてしまう。


【国を支える労働者と企業を守るバランス】


もちろん解雇を無制限に認めるべきという話ではない。
失業手当を手厚くすればいいという簡単な話でもない。
組合がそう多くはない、日本においては、
国や自治体がセーフティネットを張り巡らすべきである。
ハローワークのようなどうにもならないような労働者紹介ではなく、
教育から派遣、紹介まで私企業並に動ける組織を作るべきだ。
企業にその事業を委託してもいい。
企業の税金の一部を、労働者保護にまわしてもいいかもしれない。

国や社会は、何で成り立つか?
国民と企業の税金だ。
国民の所得税は企業からもらう労働の対価だ。
企業がなければ、所得はない。
だから、双方をバランスよく守ることが繁栄につながる。
「企業の横暴」
は絶対に許してはいけない。
しかし、誤解を恐れずいえば、
「労働者の横暴」
も社会は許してはならない。




2014年2月26日水曜日

思い上がる安倍首相~憲法解釈について~


安倍首相によると、憲法解釈は、首相の判断で変えられるらしい。

日本国憲法は硬性憲法であり、憲法の条文を変えることは非常に高いハードルがある。憲法改正するためには、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案して承認を経なければならず、国民投票は、その過半数を必要とすると憲法第96条でざっくりと規定してある。要は、憲法の条文を変えることは相当難しいということだ。

よく憲法改正のときにでる条文が憲法9条だ。

憲法9条は

1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。 国の交戦権は、これを認めない。

としている。
そのまま読めば、今の日本の自衛隊は憲法違反としか思えない。陸海空軍の戦力を保持しないのだから。しかし、これを憲法解釈で自衛隊は軍隊ではないとしている。

中国や北朝鮮の脅威、中韓との関係悪化など、昨今の国際情勢から考えても、全くの丸腰というのはいかがなものかとは思うが、世界有数の軍事費を日本は使っている。

憲法9条ですら、こういう解釈をしているのだから、解釈次第ではすべての条項はなんとでも読むことができるようになってしまう。
それも、時の総理の判断次第で憲法解釈ができるとすれば、ほぼ1年毎に総理が変わる日本では、毎年解釈が変わりうるということになりかねない。そもそも、総理一人の判断で解釈ができると思うことがおかしい。思い上がり以外の何ものでもない。

最近、安倍氏側近からも暴言が多くなっている。ねじれも解消し、目下のところ、自民党内にもライバルもいない状況の中、調子にのっているとしか思えなくなってしまっている。当然のことながら、政治とは国民のためのものであり、一人の人間の主義主張を達成するためのものではない。

憲法は国家の背骨だ。これがグラグラになれば、国家としての体をなさなくなることは必然。当たり前のことだが、国権の最高機関である国会での審議、そして採決が必須の話だ。
裁判所も憲法解釈などを高度に政治的判断として逃げないよう、きちんと判断して欲しい。

2014年2月21日金曜日

慰安婦問題にケリをつける唯一の方法~揺らぐ河野談話~

いわゆる河野談話というのは、1993年8月3日に、宮沢内閣の河野洋平官房長官によって発表された「慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話」のことである。内容としては、

・朝鮮半島での慰安所の設置に、旧日本軍が要請し、直接・間接に関与したと認めた。
・慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者(日本人・朝鮮人)が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったこと
・慰安所の生活は強制的な状況の下で痛ましいものであったとし、慰安婦の存在は認めた。

というものだ。

しかし、産経新聞によると、ここにきて、この発表の根拠となるものが揺らいでいる。

”石原信雄元官房副長官が20日の衆院予算委員会で、慰安婦募集の強制性を認めた平成5年の「河野洋平官房長官談話」の作成過程について(1)日本軍や官憲が強制的に女性を募集したという客観的資料はない(2)談話は韓国での元慰安婦16人への聞き取り調査に基づくが、裏付け調査はしていない(3)談話は軍や官憲の直接的指示での募集(強制連行)を認めたわけではない-の3点を証言した意義は重い

普通に考えて、こういった発表、特に政府としての発表で、この根拠の曖昧さはあり得ない。当然、元慰安婦16人というのも韓国が用意した方々と考えていいと思えば、根拠は全くないと言っていい。

本来であれば、歴史的事実に関しては、歴史教科書にも載るものでもあり、関係国との合同調査というものが望ましい。実際に、こういう問題について、関係各国で調査を行った例は世界にあるが、安倍総理の性格上、不可能といえる。となれば、やれることは限られる。まずは日本として独自に徹底的に調査を行うこと。この際、政治的、外交的なものは一切考えてはいけない。日本として負の結果がでたとしても、認める覚悟が必要だ。さらには、第三国にも協力を仰ぎ、共同作業を依頼することで客観性を担保することだ。

根拠のない中で、「あった」、「なかった」というのは不毛な議論でしかない。やるべきことは徹底的調査と客観性の担保だ。