『無税国家のつくり方 税金を払う奴はバカ!』(大村大次郎著)(以下、本書)は、
お金が市中に流れるルートは誰かが銀行などからお金を借金することと、
企業が輸出をして、外貨を獲得して、銀行で日本円に交換したときの2つしかないとする。
市中にお金が流れるルートが2つしかない金融システムを欠陥と指摘し、
政府通貨を発行することで、無税国家とし、お金が大量に流れる
新しい金融システムを構築すべきと唱える。
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この政府通貨構想は、テレビなどでも何人かの経済学者などが唱えており、
決してできないものではなく、また、効果もあるのだと思われる。
が、これをやれる政治家が果たしているのかと思うと、
可能性は薄いと思わざるをえない。
かつて、松下幸之助氏が無税国家を唱えた。
さすがにダム経営を唱えた松下氏で、
国家が貯蓄をし、その利息をどんどん膨らませていき、
ゆくゆくは無税国家になるというものだった。
できるできないの可能性で言えば、こちらの方ができそうだが、
借金まみれの我が国では、これも夢物語でしかない。
いずれは、松下氏の唱える形になればいいのだけど、
今を脱却しない限りは決してできないことである。
この脱却の方法の一つが、大村氏の唱える政府通貨の発行でもある。
前述したように、不可能なことではないが、
今の政治家にはできないと思わざるをえないほどの、大きな仕組みだ。
それよりは、税制の抜本的改革をした方がいい。
本書にもあるように、企業が内部留保金をバブル崩壊以降で倍増させ、
輸出額も順調に増えてきたにもかかわらず、ずっと経済は停滞してきた。
それなら、その内部留保金を市中に出させればいい。
株主資本に税金をかけるのだ。
株主資本がマイナスになれば銀行はお金を貸さないし、
当然、余程の可能性がある事業出ない限りは、株主はそっぽを向く。
企業は株主資本をマイナスにはできない。
企業の7割が法人税を支払っていないという中、
株主資本に税金をかけることにすれば、大部分の企業は税金を支払うことになる。
さらに税率を小さくしても、いまよりかなり大きな税収になるはずだ。
また、個人も同様で、確定申告制度を変えて、
企業と同じようにバランスシートを作り、
自己資本、または資産全体に税金をかける。
資産全体にかけても今の所得税より安ければ問題ない。
広く薄く税金を確実にとることで税収をあげ、
今の制度である、所得税、消費税、贈与税、相続税などはすべて廃止する。
いくら消費税をあげていっても、国の借金は減らせない。
減らすぐらいまで税率をあげたときには、国民生活は成り立たなくなっている。
ちょうど総選挙になるようだが、小手先の改革をいくら唱えても何も変えられない。
いかに抜本的に変えて、未来の国つくりができるかが重要だ。
いま、必要なのは国家戦略であって、戦術ではない。。。